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カール加工・金型でのプレス抜き・曲げ|タフピッチ銅板加工例(ボビンシールド)

純銅の一般的な板金材料であるタフピッチ銅板(C1100P)の薄板(t0.5)の精密板金加工サンプルとして、量産製作用抜き金型でのプレス抜きによるブランク加工後、2種類のR曲げ金型によるカール加工によって試作した電磁シールド部品(ボビンシールド)の製作・試作実例をご案内しています。

製品情報、板金加工内容・部品加工データの詳細、設計・加工のポイントなどをご紹介していますので、お見積もり・ご注文の際の参考にしてください。


■ ボビンシールド(電磁シールド試作部品)

■ 製品サンプル写真
ボビンシールド タフピッチ銅 C1100P t0.5 薄板銅板カール加工|企業様向け精密板金加工部品写真
(クリックで拡大)

■ 製品情報・加工データ詳細

  • 加工カテゴリー : 薄板精密板金加工
  • 製品名称 : ボビンシールド(仮称)
  • お客様 : 企業様向け
  • 製品用途 : ●●装置内部で使用される電磁シールド部品として利用
  • 設計者 : お客様
  • 加工用図面形式 : CAD図面によるPDFファイル図面
  • 製品構成部品点数 : 1点
  • 組立方法 : −
  • 製品概略サイズ : 外径φ8×内径φ7×8.5L(パイプ形状)
  • 素材材質・材料 : タフピッチ銅板 C1100P 比重(密度)8.89/銅(Cu)純度99.90%以上
  • 板厚 : t0.5mm
  • 表面処理 : なし
  • 製作数量 : 100個(試作数量)、15000個(量産数量)
  • ブランク加工方法 : 外形プレス打ち抜き加工
  • 曲げ加工内容: プレス曲げ
  • 曲げ加工箇所数: R曲げ 3箇所
  • 絞り加工 : なし
  • 穴加工方法 : −
  • 穴加工数 : −
  • タップ加工数 : −
  • 溶接箇所 : 溶接なし
  • 溶接後の表面処理 : −
  • 図面指示の特定寸法公差 : 0〜−0.2(長さ寸法)
  • 図面指示なき寸法公差 : 板金加工品の一般公差(JIS B 0408-B(1) 打抜き・曲げ・絞り)
  • 金型製作の要否 : 必要:量産兼用の単発型製作(外形抜き金型を1型、R曲げ金型を2型)
  • 加工難易度 : レベル4
  • 材料費価格(材料コスト) : レベル2
  • 加工賃価格(加工コスト) : レベル2 (※金型費用別途)
  • 表面処理価格(表面処理コスト) : −
  • トータル価格(トータルコスト) : レベル2(※金型費用別途)
  • 納期 : レベル5(注文後営業日20日以上程度)
  • 評価(満足度) : レベル4

■ 注記(用語の説明)

注(1).JIS B 0408-B
金属プレス加工品(金属板を打抜き・曲げ・絞りによってプレス加工したもの)の普通寸法公差(特に図面に指示のない寸法の公差、一般公差)は、JIS B 0408(金属プレス加工品の普通寸法公差)に規定される等級”B級”によるという意味。各等級の普通寸法許容差は以下。
JIS B 0408(金属プレス加工品の普通寸法公差)の打抜き・曲げ及び絞りによってプレス加工したものの普通寸法公差(一般公差)

■ ボビンシールドの加工図面、抜き加工・カール加工の工程・ポイントなど

■ タフピッチ銅(C1100P)製のボビンシールドの加工用図面

この薄板銅板製のボビンシールドの加工用図面は以下の図面になります。
ちなみに、ボビンとは、ミシンなどで使われる糸巻きの道具などのように、円筒(筒状)の形状をした道具のことを言うようです。

薄板銅板製のボビンシールドの製作用図面|タフピッチ銅板(C1100P t0.5)
【薄板銅板製 ボビンシールド(電磁シールド部品)の製作図面|タフピッチ銅板 t0.5】

■ ボビンシールドの加工のポイント|プレス曲げ金型によるカール加工

このボビンシールドの製作にあたっては、量産を前提とした試作であるため、後に量産にも対応できるような金型を製作しています。
金型は、ブランク加工用のプレス抜き金型と、カール加工・成形を行うための2種類のR曲げ金型になります。

ボビンシールドの加工工程としては、まず、ブランク加工用のプレス抜き金型により、ブランク形状(カール加工前の展開形状)を抜き加工します。

次に、上型(うわがた)と下型(したがた)でセットとなるカール加工用のR曲げ金型によってブランク材料のカール加工を行います。
R曲げ金型によるカール加工の手順としては、以下のイメージ図のような工程となります。

ボビンシールドのR曲げ金型によるカール加工のイメージ図
【薄板銅板製 ボビンシールドのR曲げ金型によるカール加工(カール曲げ加工)のイメージ図】

まず、両端附近の曲げ(ハナ曲げ)を行うために、ハナ曲げ用のR曲げ金型に加工素材板(ブランク材料)をセットし、上型でプレスすることにより片側のR曲げ加工を行います。
(上図上段の1回目プレス曲げ)

次に、同じR曲げ金型に他方の端をセットしてプレスすることにより、もう一方の端附近も同様なR曲げ加工を行います。
(上図中段の2回目プレス曲げ)

最後に、もう一種類のR曲げ金型を用い、中心部分を上型でプレスすることによって、先にカールしておいた両端が円筒状にカールされた形状となって完成となります。
(上図下段の3回目(最終)プレス曲げ)

以上のような工程でカールされた両端の合わせ目は、曲げ加工時のスプリングバック(※)の影響があり、完全に隙間がゼロとなるのは困難ですが、上の製作図面にあるように、最大でも0.3mm以内の隙間となるような金型の設計となっています。

(※)スプリングバック
スプリングバックとは、素材に弾性があるため、曲げ加工など所定の形に成形しても加工終了後加圧力を開放した時に、はね返りにより曲げた角度よりも開いてわずかに加工前の形状に戻ってしまう現象をいいます。
スプリングバック量は材質や曲げ、絞りの量に左右されます。
ボビンシールドの素材として使用しているタフピッチ銅板はそれ程強くはないですが、SUSバネ材などスプリングバックの強い材料の曲げ加工を行う際は、スプリングバックによる曲げ角度の戻り量を考慮した深い曲げ角度の加圧力を加えなければならいので、寸法精度が出にくい難しい加工になります。

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