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C1100P、C1020P、C1201P・C1220Pなど銅板の板金加工実例

板金加工分野においてはよく”純銅(銅:Cuを99.9%以上含有する不純物が少く純度の高い銅)”として、電極などの電気部品によく用いられる、C1100P(タフピッチ銅板)、C1020P(無酸素銅板)、C1201P・C1220P(りん脱酸銅板)に代表される銅板による薄板精密板金・板金加工の製品実例をご紹介しております。

加工サンプル内容の詳細をご覧いただき、お見積もりやご注文の際の参考にしてください。

銅板の種類や規格などに関することも簡単に解説しておりますので、こちらも設計などの参考になれば幸いです。

銅板材料:C1100P,C1020P,C1201P・C1220P等


■ サンプル1

タフピッチ銅板 C1100P t1.0(表面処理なし)の精密板金実例。企業様向け。銅板の曲げ加工成形品。


■ サンプル2

無酸素銅板 C1020P t1.0(表面処理なし)の精密板金実例。企業様向けのNCTタレパンによるブランク加工・特殊形状曲げ加工による銅板製の接続端子製品。


■ サンプル3

薄板銅板 C1020P(無酸素銅板) t0.6(ニッケルメッキ)の精密板金実例。企業様向けの無電解ニッケルめっき処理を施した段曲げ加工による電極板製品。


■ サンプル4

薄板銅板(タフピッチ銅板) t0.5の金型でのプレス抜き・曲げによるカール加工実例。電磁シールド部品として利用するボビンシールドの試作&量産。企業様向け。


■ サンプル5

比較的厚板の銅板(C1100P タフピッチ銅板 t4.0)の板金加工・機械加工(端面4面フライス加工)実例。自作利用する銅板製電源タップ天板。企業様向け。


■ サンプル6

薄板銅板(無酸素銅板 t0.6)の板金加工サンプル。シャーリングカットによるブランク加工後、Niめっき処理を施した電極端子製品。企業様向け。


■ 銅板の種類や規格、サイズ、特徴、機械的性質など

銅板(純銅板)の種類
銅とは、伸銅品の一種であり、銅(元素記号:Cu)の含有量が99.90%以上の非鉄金属のことを言います。
純度の高い銅であり、純銅とも言われます。
代表的な銅板には以下の銅板があります。

  • 無酸素銅板(C1020P):比重(密度)8.89/銅(Cu)純度99.96%以上
  • タフピッチ銅板(C1100P):比重(密度)8.89/銅(Cu)純度99.90%以上
  • りん脱酸銅板(C1201P・C1220P・C1221P):比重(密度)8.89/銅(Cu)純度99.90%以上
無酸素銅(合金番号:C1020)
酸化銅(I)[Cu2O](※1)や残留脱酸剤を含まない銅 99.96%以上の高純度銅の非鉄金属。
導電性・熱伝導性・展延性・絞り加工性に優れ、溶接性・耐食性・耐候性がよい。
還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素ぜい化を起こすおそれがない。
電気用、化学工業用などに用いられる。
広くケーブルの導体として使われているタフピッチ銅と比較すると、より抵抗や歪みが少なく工業的に優れている純銅。
参考英語:oxygen-free copper
タフピッチ銅(合金番号:C1100)
酸化銅(I)[Cu2O](※1)の状態で酸素を0.02〜0.05%含む銅 99.90%以上の高純度銅の非鉄金属。
導電性・熱伝導性に優れ、展延性・絞り加工性・耐食性・耐候性がよい。
電気・熱の伝導性に優れるが、還元性雰囲気中で高温加熱すると水素ぜい化を起こす場合がある。
広く導電用材料として使われるほか、電気用、蒸留がま、建築用、化学工業用、ガスケット、器物などに用いられる。
参考英語:tough pitch copper
りん脱酸銅(合金番号:C1201、C1220、C1221)
りんによって脱酸(※2)され、酸化銅(I)[Cu2O](※1)を含まない銅 99.90%以上の高純度銅の非鉄金属。
残留りん量によって高りん脱酸銅と低りん脱酸銅とがある。
高りん脱酸銅は、水素ぜい化の心配はないが、導電性が低下する。
低りん脱酸銅は、導電性の低下は少ないが、条件によっては水素ぜい化のおそれもある。
展延性・絞り加工性・溶接性・耐食性・耐候性・熱伝導性がよい。
合金番号C1220は、還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素脆化を起こすおそれがない。
合金番号C1201は、C1220及びC1221より導電性がよい。
ふろがま、湯沸器、ガスケット、建築用、化学工業用などに用いられる。
参考英語:phosphorous deoxidized copper
(※1)
酸化銅とは、銅及び高銅合金(注1.)などを、酸化雰囲気中で加熱する際に表面に生成する銅と酸素の化合物のこと。
酸化銅(U)[CuO]、酸化銅(T)[Cu2O]の2種類があり、酸化銅(U)は最表層部に生成し、黒色を呈し、酸化銅(T)は前者の下層部に生成し、赤褐色を呈す。
(注1.)
高銅合金とは、銅を主成分とし、それに合金元素を添加し、銅96.0%以上で他の合金系に属さないもの。
すず入り銅、銀入り銅、ジルコニウム銅、クロム銅、テルル銅、チタン銅、ベリリウム銅、快削ベリリウム銅、鉄入り銅などがある。
(※2)
脱酸とは、金属又は合金の溶湯中の酸素を除去する処理のこと。
りん、マンガンなどが脱酸剤として用いられる。

これらの銅板は、配線器具・トランス・アンテナ等の電気・電子部品用途、屋根板・スプリンクラー・給水管・給湯管・冷媒・床暖房用配管等の建築用途、熱交換器用途、蒸気がま・印刷版等の機械装置用途、器物・風呂釜・湯沸かし器等の日用品用途など、各分野における板金加工材料としても広く用いられています。

銅板は、鉄板(鋼板)やアルミ板、ステンレス板などの一般的な板金材料よりは比較的、価格が高価な材料であると言えます。
さらに、銅板(銅管や銅製品も含めて)の価格は常に銅相場により変動しており、最近は銅相場の変動(高騰)も著しいため、板金加工における材料費のコストには注意が必要です。

銅板の定尺サイズ・寸法
無酸素銅板・タフピッチ銅板・リン脱酸銅板など、銅板の定尺サイズ(標準寸法)としては、一般に以下の定尺板があります。
市中に流通している定尺板としては、以下の小板(コイタ)やメーター板が最も多く、銅板金加工素材として利用されています。

銅板(無酸素銅板・タフピッチ銅板・リン脱酸銅板)の定尺サイズ
・365mm×1200mm:通称「小板(コイタ)」
・1×2(1000mm×2000mm):通称「メーター板」
・4×8(1250mm×2500mm):通称「シハチ」(※)

(※)銅板の 4×8(シハチ:1250mm×2500mm)の寸法は、SPCC鋼板ステンレス板(SUS304-2B)と若干サイズが異なるので注意が必要です。
A5052Pなどのアルミ板の4×8(シハチ)と同じサイズになります)

銅板の定尺板サイズ表(標準板厚寸法及び寸法公差、重量)
一般的に流通する銅板(C1020P、C1100P、C1201P・C1220P)の定尺板(小板、1×2メーター板 及び 4×8シハチ板)の、標準板厚寸法及び板厚寸法公差と各板厚における1枚当たりの重量は、以下の表1〜表5の通りです。
なお、銅板の比重は、8.89 となります。

表1.C1020P 無酸素銅板 365×1200小板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)
pdfファイル 表1.C1020P 無酸素銅板 365×1200小板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)(PDFファイル版)

表2.C1100P タフピッチ銅板 365×1200小板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)
pdfファイル 表2.C1100P タフピッチ銅板 365×1200小板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)(PDFファイル版)

表3.C1100P タフピッチ銅板 1×2メーター板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)
pdfファイル 表3.C1100P タフピッチ銅板 1×2メーター板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)(PDFファイル版)

表4.C1100P タフピッチ銅板 4×8シハチ板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)
pdfファイル 表4.C1100P タフピッチ銅板 4×8シハチ板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)(PDFファイル版)

表5.C1201P・C1220P りん脱酸銅板 365×1200小板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)
pdfファイル 表5.C1201P・C1220P りん脱酸銅板 365×1200小板サイズ表(標準板厚及び寸法公差、重量)(PDFファイル版)

※通常、板金加工eyeで板金用として使用する銅板の板厚はt3.0までとなります。
(t3.0までの板厚を全て在庫している訳ではありません。)

銅板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ)
無酸素銅板、タフピッチ銅板及びリン脱酸銅板の機械的性質を、それぞれ以下の表6〜表8にまとめます。(JIS H 3100 より抜粋)

表6.C1020P 無酸素銅板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)
pdfファイル 表6.C1020P 無酸素銅板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)(PDFファイル版)

表7.C1100P タフピッチ銅板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)
pdfファイル 表7.C1100P タフピッチ銅板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)(PDFファイル版)

表8.C1201P・C1220P・C1221P りん脱酸銅板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)
pdfファイル 表8.C1201P・C1220P・C1221P りん脱酸銅板の機械的性質(引張強さ・伸び・曲げ・硬さ:JIS H 3100)(PDFファイル版)

注(1)
曲げ試験の条件を示す。曲げ試験は、注文者の要求のあるものに限り適用し、曲げた部分の外側に割れを生じてはならない。ただし、端部の割れは判定の対象にしない。
注(2)
最小試験力は、4.903N とする。
注(3)
参考値を示す。
注(4)
注(2)の規定にかかわらず最小試験力は、1.961N とする。

伸銅品(銅及び銅合金)について

伸銅品とは
伸銅品とは、銅板などの銅(純銅)や銅合金(※)を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造などの熱間加工や冷間の塑性加工によって板、条、管(パイプ、チューブ)、棒、線などの形状に加工した製品の総称のことをいいます。

(※)
銅合金とは、銅を主成分とし、それに合金元素(ある特性を付与する目的で母金属に添加され、又は包含される金属、又は非金属元素)を添加した合金のことをいい、黄銅(銅と亜鉛の銅合金)や青銅(銅とすずの銅合金)、白銅(銅とニッケルの銅合金)、赤銅(銅と金の銅合金)、洋白(銅と亜鉛とニッケルの銅合金)などがあります。

伸銅品の一般的な特徴
銅板などの伸銅品の一般的な特徴などを以下にまとめます。

電気伝導率が高い
銅及び銅合金は、常温では金属の中で銀に次いで2番目に電気を良く通す金属です。
銅及び銅合金は、電気伝導率(導電率) が非常に高い(つまり、電気抵抗が小さい)ので、配電盤やその他多くの配線など、電気機器部品として広く利用されています。
また、銅は電気伝導度が大きいので、金属材料の電気伝導度の基準にもなっています。
熱伝導度が高い
銅及び銅合金は、熱を良く通す、つまり、熱伝導率が高いので、化学工業用やクーラーの熱交換器、家庭用風呂釜、蒸留釜、調理器具(やかんなど)などに利用されています。
一般に、電気伝導性のよい材料は、熱伝導性も良いという性質があります。
伸延性、圧延性が良好
銅及び銅合金は、圧延、伸線し易いので、線・条・及び板の曲げ加工・絞り加工が容易にできます。
そのため、日用品や家庭用品、建築用品などにも用いられています。
優れた耐食性をもつ
銅及び銅合金は、大気や天然水としての淡水・海水に対する耐食性に優れている金属なので、船舶、発電所、プラント設備の復水器や、屋根、雨樋などの建築材料、器ものなどとして広く使われています。
多彩で美しい色調をもつ
銅及び銅合金は金属の中では数少ない有色金属です。
銅は淡赤桃色、赤みがかった丹銅、ブラスと呼ばれる黄銅、ブロンズと呼ばれる青銅、少しピンクがかった白銅、銀色の洋白など多彩な色沢をもち、古くから建築材料やさまざまな器物などに使われています。
良好なバネ特性をもつ
無酸素銅・タフピッチ銅・りん脱酸銅などの純銅はバネ性が少ないですが、りん青銅(リン青銅)や洋白、ベリリウム銅などの工業用の銅合金などは、ばね性が良く疲労強度が高い性質があります。
そのため、通信機や電気計器などの部品として広く利用されています。
非磁性体である
銅及び銅合金は、磁性がない合金金属であるため、防爆防止用材料などに利用されます。
低温ぜい性がない
銅及び銅合金は、温度の低下するとともに強さが増して、超低温でも低温ぜい性を示さないとう特性があります。
めっき性・はんだ付性が良い
銅及び銅合金はニッケル、クロム、金、銀などのメッキののりが良く、さらに表面にバフ研磨などの研磨処理を施すことにより光沢ある仕上げ面が得られます。
切削加工性が良好
銅及び銅合金は、被削性が良好であり、一般的に切削仕上げ面や打ち抜きがきれいに仕上がります。
熱間鍛造性が良い
銅及び銅合金は、熱間鍛造性が良好なので、複雑な形状のものでも鍛造が可能であり、機械部品などに利用されています。

銅板のJIS規格
板金加工用としても代表的な C1100P タフピッチ銅板をはじめとし、その他各種銅板・銅合金板について規定しているJIS規格には、以下の規格があります。

JIS H 3100 銅及び銅合金の板並びに条
(Copper and copper alloy sheets, plates and strips)
圧延した銅及び銅合金の板並びに条について。板を打ち抜き又はせん断した円板、条を打ち抜き又はせん断した円板も含む。
銅及び銅合金の種類・等級及び記号、化学成分、機械的性質、結晶粒度、導電率及び体積抵抗率、水素ぜい性、深絞り加工性、寸法及びその許容差、各種試験など。

この規格では、無酸素銅板(C1020P)・タフピッチ銅板(C1100P)・りん脱酸銅板(C1201P・C1220P・C1221P)などの銅板のほか、以下に示すの銅合金が規定されています。

印刷用銅板(記号:C1100PP、C1221PP、C1401PP)
C1100PP及びC1221PPは、特に平面が平滑である。グラビア版用。
C1401PPは、特に平面が平滑で耐熱性がある。写真凸版用。
すず入り銅板(記号:C1441PS)
導電性・熱伝導性・耐熱性・展延性に優れている。
半導体用リードフレーム、配線機器、その他電気電子部品、湯沸器など。
ジルコニウム入り銅板(記号:C1510PS)
導電性・熱伝導性・耐熱性・展延性に優れている。
半導体用リードフレームなど。
鉄入り銅板(記号:C1921PS、C1940PS)
導電性・熱伝導性・強度・耐熱性に優れ、加工性がよい。
半導体用リードフレーム、端子、コネクタなどの電子部品など。
丹銅板(記号:C2100P、C2200P、C2300P、C2400P)
色沢が美しく、展延性・絞り加工性・耐候性がよい。
建築用、装身具、化粧品ケースなど。
黄銅板(記号:C2600P、C2680P、C2720P、C2801P)
C2600は、展延性・絞り加工性に優れ、めっき性がよい。端子コネクタなど。
C2680は、展延性・絞り加工性・めっき性がよい。スナップボタン、カメラ、まほう瓶などの絞り用、端子コネクタ、配線器具など。
C2720は、展延性・絞り加工性がよい。浅絞り用など。
C2801は、強度が高く、展延性がある。打ち抜いたまま又は折り曲げて使用する配線器具部品、ネームプレート、計器板など。
快削黄銅板(記号:C3560P、C3561P、C3710P、C3713P)
C3560及びC3561は、特に被削性に優れ、打抜き性もよい。時計部品、歯車など。
C3710及びC3713は、特に打抜き性に優れ、被削性もよい。時計部品、歯車など。
すず入り黄銅板(記号:C4250P)
耐応力・腐食割れ性・耐摩耗性・ばね性がよい。
スイッチ、リレー、コネクタ、各種ばね部品など。
アドミラルティ黄銅板(記号:C4430P)
耐食性、特に耐海水性がよい。
厚物は熱交換器用管板、薄物は熱交換器、ガス配管用溶接管など。
ネーバル黄銅板(記号:C4621P、C4640P)
耐食性、特に耐海水性がよい。
厚物は熱交換器用管板、薄物は船舶海水取入口用など(合金番号C4621はロイド船級用、NK船級用、合金番号C4640はAB船級用)。
アルミニウム青銅板(記号:C6140P、C6161P、C6280P、C6301P)
強度が高く、耐食性、特に耐海水性・耐摩耗性がよい。
機械部品、化学工業用、船舶用など。
楽器弁用黄銅板(記号:C6711P、C6712P)
打ち抜き加工性・耐疲労性がよい。
ハーモニカ、オルガン、アコーディオンの弁など。
白銅板(記号:C7060P、C7150P)
耐食性、特に耐海水性がよく、比較的高温の使用に適する。
熱交換器用管板、溶接管など。
ニッケル-すず銅板(記号:C7250PS)
展延性・成形加工性・疲労特性・耐熱性・耐食性がよい。
電子・電気機器用ばね、スイッチ・リレー、リードフレーム、コネクタなど。



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